分かりやすく伝えるためのロジカルシンキング
その基本中の基本は、自分の言いたいこと(主張)とその裏付け(根拠)を分けることです。
ところが、これは日本人は苦手とするところ。そもそもが自分の「言いたいこと」を固めずに、その場の雰囲気に合わせたコミュニケーションが多いものです。仮に主張が固まったとしても、単に声高にその主張をくり返すだけで、「なぜそれが必要なのか」などの根拠がないコミュニケーションになりがちです。
結果として、
- 上司から、「何を言っているか分からない」と指摘される
- 顧客にちゃんと伝えたつもりだが、間違って理解されていることにあとから気付いた
- 会議の発言で、自分が何を言いたいか分からなくなってしまう
などの問題が発生してしまうのです。
ロジカルシンキングの型となる「なぜならば」
ちょっと堅苦しく聞こえてしまうかもしれませんが、「なぜならば」を使うと必然的に主張と根拠を分けて述べるスタイルになります。
- 「政府は消費税の増税を延期すべきである。なぜならば…」
- 「わが社は新規ビジネスとして○○に取り組むべきである、なぜならば…」
- 「うちの部署ではSNSへの書き込みを認めるべきである、なぜならば…」
のように、「AなぜならばB」というフォーマットはいわばロジカルシンキングを使ったコミュニケーションの「型」とでも言うべきもので、主張(A)と根拠(B)を自然と分ける効果があります。
主張と根拠をつなげるのがロジカルシンキング
たとえば、先ほどの例で考えてみましょう。
「政府は消費税の増税を延期すべきである。なぜならば…」
に続く主張が、
「日本は不景気だからだ」
と言うのでは、聞いている方は「ん?それは何で?」と思わず聞き返したくなってしまうでしょう。これは、主張と根拠がつながっていないため、論理が飛躍して聞こえてしまうためです。
本当のところは、
日本は不景気だ
↓
まずはその不景気を解消しないと法人税や所得税も含めたトータルでの税額は増えない
↓
このタイミングで消費税を増税することは不景気の解消に役立たない
というつながりがあるので、根拠としての「日本は不景気だからだ」もあながち間違いではありません。
ただ、忙しいビジネス現場でこのような論理の飛躍があるコミュニケーションをとられると、時間がかかったり性格に合わないなどの問題があります。したがって、主張と根拠は十分につながっているかという観点でチェックするのがロジカルシンキングには必要なのです。
ロジカルシンキングと演繹法・帰納法
難しい漢字が並んでいるせいでちょっと「とっつきにくい」と感じるかもしれませんが、日常の会話の中でも使われているものですから、ロジカルシンキングとは言ってもそれほど気負って考える必要はありません。
詳しい説明はそれぞれのパートに譲りますので、ここでは、
- 演繹法:一般に通用するルールを観察事実に当てはめて主張と根拠をつなぐ
- 帰納法:根拠の間の共通項と因果関係に着目して主張と根拠をつなぐ
と押さえてください。
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