ロジカルシンキングとマイケル・ポーターの5つの力

ポーターの5F

「ポーター」はマイケル・ポーター米ハーバード大学教授を指し、「業界がおいしいか、おいしくないか」は5つの力(英語の「Force」)によって決まると提言された。

たとえば、金融であれば、30 代で一千万円プレイヤーは当たり前、なのに製造業は……。その疑問を解くカギが「5F」。

具体的には、競争相手が手強ければ手強いほど、その業界は「おいしくない」。同様に、「顧客の交渉力の強さ」「供給業者の交渉力の強さ」、「新規参入の脅威」、「代替品の脅威」という要素で複合的に決まるとされる。

ポーターの5Fはもともとは企業戦略のフレームワークであるが、ロジカルシンキングという観点では、ロジカル・コミュニケーションにおける根拠を整理するための枠組みとして、そして問題解決における情報整理の枠組みとして使うことが考えられる。

ポーターの5つの力で考えるパソコン業界

たとえば、パソコン業界を題材にポーターの五つの力を考えてみましょう。まずは競争相手です。ここには、大手から中小企業まで多くの業者が乱立しており、「オイシイ」とはいえない状況です。実際、IBMは”thinkpad”ブランドのパソコン事業をレノボに売却したり、コンパックに至っては企業自体が買収されていますから、その競争の厳しさがうかがえます。

では次に、顧客の交渉力の強さです。誰を「顧客」とするかという議論はありますが、ここでは仮にエンドユーザーである一般消費者を顧客と捉えて考えてみましょう。エンドユーザーにとっては、どの会社のパソコンでも同じであり、よほどのこだわりがなければ「この会社のパソコンを使い続けたい」というのはないでしょう。したがって、この観点からもパソコン業界は厳しいといえます。

次は、供給業者の交渉力の強さです。ここはハードウェアとソフトウェアに分けて考えてみましょう。まずはハードウェア。パソコンの「頭脳」とでも言うべきCPU (中央演算装置)は、インテルをはじめとした大手企業が並んでいますから、供給業者の交渉力は強そうです。一方のソフトウェアは、OS (オペレーティングシステム)を一手にマイクロソフトに握られていますから、ここでも供給業者の交渉力が強いといえるでしょう。

次は、新規参入の脅威です。実はこれは、ほぼありません。昔ならいざ知らず、この状況を見て「いま、パソコン業界に参入しよう」という企業は少ないでしょう。

では最後に代替品の脅威です。これも実は厳しい環境で、タブレット端末やスマートフォンが従来パソコンが担ってきたウェブブラウジングなどの作業を代替しています。そして、同じような形を持つクロームブックも大きな脅威と目されます。

マイケル・ポーターとフレームワーク

マイケル・ポーター教授は、学問的なバックグランドが経済学というせいもあり、現実の複雑な事象を抽象化してフレームワークにまとめるのを得意としている。

5F以外にも、

など、ロジカルシンキングの枠組みとして使えるフレームワークを、他にも提唱している。

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