ロジカルシンキングの考え方の一つで、今手元にある情報から最善の推測を考え、仮の結論として提案する方法論を意味する。
時間とコストがかかる非仮説思考
例えばこんな状況を考えてみましょう。昔ながらの喫茶室を経営している会社が、「我が社もシアトルスタイルに取り組むべきか、それとも今の業態のままで行くべきか」を考えているとします。
仮説思考「でない」方法でアプローチすると、まずは調査から始めます。
- シアトルスタイルの特徴は?
- 顧客セグメントの規模と成長性は?
- 何年で採算がとれるのか。仮に採算がとれない場合の撤退基準は?
などなど。
ところが、このアプローチは時間とコストがかかります。市場調査や競合調査、さらには本社の企画部の人間が詳細な採算計画をたててみたり。変化が激しい今の時代、そうこうしている間に機会をみすみす逃してしまうこともあるのです。
わかっていることから仮の結論を出す
仮説思考は、別のアプローチです。とりあえずわかっていることから、仮の結論を先に立ててしまいます。「我が社はシアトルスタイルに取り組むべきである」、と。もちろんそこには、理由づけ(根拠)もついてきます。
- 既存の顧客の離反は少ないし、新規の顧客を取り込めるだろう
- 近隣に強力なライバル店はない
- 自社の既存の店舗を改装すれば経費も最小限ですむ
などなど。
そのうえで、根拠が本当にそうであるかを確認していき、最終的な仮説が正しいかどうかの検証をします。たとえば、既存のお客様のアンケート調査をしたり、経費を見積もったり。もちろん調査はしますが、必要最低限ですむために圧倒的にスピード感が出ます。
スピード感が必要な業界で求められる仮説思考
上述のとおりスピード感が仮説思考の大きなメリットですから、IT業界など、変化が激しい分野では仮説思考のメリットが生きることになります。なぜならば、テクノロジーの進化により、「今、この瞬間」での判断がより多く求められるためです。
たとえば、google。仮説思考で新たなサービスを投入して、ダメだったらアッという間に止めてしまうという行動原理が見えます。SNS「google+ (グーグルプラス)」は、2011年に始まったものの、2019年には閉鎖されてしまいました。仮説では「facebookがうまくいっているのだから、既に顧客基盤があるgoogleだったら対抗できる」という仮説で始まったのでしょうが、検証の結果「ダメだ」とわかったら、アッという間に撤退という意志決定をしたのでしょう。
他の会社でもこのような例は枚挙に暇が無くて、最近のビジネスで仮説思考が重要視されるゆえんです。
前ページ クリティカル・シンキング (くりてぃかる・しんきんぐ)を読む |
次ページ マインドマップ (まいんどまっぷ)を読む |
|
---|---|---|
ロジカルシンキング研修のページに戻る |