マインドマップはアイデア出しの思考のツール
マインドマップは、英国の教育者トニー・ブザンが開発したと言われている思考のツール。下図のように一つのコンセプト(セントラル・イメージ)を中心に据え、そこから派生したアイデアを放射状に記載することになります。
「若者気質」を考察するマインドマップ
考案者のブザン氏は、よくあるノートの取り方を下記のように否定しています。
文章や箇条書きでノートをとる方法は産業革命の時代に一般化した。このノートの取り方には、工場での流れ作業や軍隊の発展において必要不可欠だった「厳密さ」や「線形化」が反映されている。当時の思考法もまた「白か黒か」という単純なものだった。こうした19世紀的な単純な方法論は、情報知識があふれる現代にふさわしくない。今必要とされているのは迅速かつ柔軟な思考力なのだ。
さらに具体的にいうと、既存のノートの取り方は、
- ノートの90%は記憶と結びつかない
- 重要でない言葉を読まなければならない
- キーワードが埋もれてしまう
- キーワード同士の関係があいまい
- キーワード同士が離れてしまう
と言う欠陥があると。それに対してマインドマップは下記の優位性があるとしています。
- 「中心となる概念」が明確である
- アイデアの「相対的な重要性」がはっきりしている
- 「重要なアイデア」は中心近くにあるので、一目でわかる
- キーワード同士の結びつきが一目瞭然なので関連付けをしやすい
- 情報を素早く効果的に思い出すことができる
- 後から書き加えるのが簡単な構造になっている
- 一つ一つがユニークな作品なので、記憶をよみがえらせやすい
補完的なマインドマップとロジカルシンキング
とはいえ、マインドマップが完璧なツールというわけではなく、むしろロジカルシンキングと補完的な関係にあると理解した方が、ビジネスにおいては有効と考えられます。具体的には、ロジックツリーとの比較で考えると、MECE、すなわち「モレなくダブりなく」をチェックしにくいというデメリットがマインドマップにはあります。
たとえば問題解決に取り組むとき、「どこに問題があるのか」を考えるのはWhereのロジックツリーを使います。ところが、この代わりにマインドマップを使うとすると、大事な論点を見落としてしまう可能性があり、本質的な問題解決につながらないリスクがあります。同様に、問題の本質に対する打ち手を考えるときにも、モレなくダブりなく幅広く考えるべきですが、マインドマップでは「たまたま思いついたもの」だけにフォーカスしてしまい、本当は効果的な打ち手を漏らしてしまう危険性があるでしょう。
とはいえ、マインドマップが「発想しやすい」ツールであるのも本当なので、使い方としては、
- マインドマップで発想を広げる
- 出てきたアイデアをロジックツリーで整理する
- ロジックツリーが行き詰まったらマインドマップに戻ってアイデアを広げる
- さらにロジックツリーの完成度を高める
と、交互に使っていくのが効果的と考えます。
会議を効果的にするマインドマップとロジカルシンキング
さらにブザン氏は、マインドマップで会議の効率がよくなると述べています。これも実は、ロジカルシンキングと補完的な関係にあると理解できるでしょう。会議を効率的に進めるためには、事前にアジェンダを設定し、会議中も論点から外れた意見をコントロールしながら進めていき、会議の内容と決定事項を議事録で共有するという必要があります。実はこれとマインドマップは相性がよく、事実ブザン氏も「マインドマップ議事録の作成方法」として下記を提案しています。
- セントラルイメージに会議のテーマを書く
- 主な議題をBOIにしてメイン・ブランチにする
- 会議の進行に合わせ、メイン・ブランチからサブ・ブランチを伸ばして新たなアイデアや発言を付け加えていく
- 複数のプレゼンテーションで構成される会議の場合、それぞれの発表者の考えをメモするために、複数のみに・マインドマップを1枚の紙に描いてもいい
- 複数のマインドマップに分けても、すべてが1枚の紙に描かれていれば、相互参照する箇所や焦点の当たったテーマを指し示すのも簡単だ
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