ロジカルシンキングのキモMECE
Mutually (お互いに)
Exclusive (かぶらずに)
Collectively (全体として)
Exhaustive (網羅している)
の頭文字を取ったもので、訳すならば「モレなくダブりなく」となります。
たとえば、こんな話題で考えてみましょう。「最近流行のタブレット端末。どれを買おうか迷っているのだが、まずは分類(カテゴリー分け)して、どのような製品があるのかを確認したい」
回答例としては下記のようなものが考えられるでしょう。
- OS(システム)による分類
- Android (アンドロイド)
- iOS (iPad)
- 大きさによる分類
- 6インチ
- 8インチ
- 10インチ
- スマホ型
- 通信方法による分類
- 通信機能なし
- Wi-Fiによる通信
- SIM(電話回線)による通信
- 用途による分類
- ビジネス用
- 日常用
- レジャー用
ただ、実はこの中にはMECEでない枠組みも混じっていて、タブレット選びに支障がでてしまうものもあります。
たとえば、1番のOSによる分類。タブレットいえばついついアンドロイド(Nexus7とか)かiPadかと思ってしまいがちですが、重大なものが抜けていて、それがWindowsタブレット。Windows8.1とかが多いですが、会社のPC環境に似たものを持ち出せて便利なものです。購入を比較している段階でこれを見逃してしまうのはもったいないですね。
こんどは4番を見ると、ダブりがあることに気付くでしょうか。日常用とレジャー用は、ほとんど同じ分野ですから、「え~っと、このタブレットは日常用?レジャー用?」と悩むのはほとんど意味がありません。また、筆者の体験では、一台のタブレットを使い回すので、ビジネス用と日常用を分ける意味もあまりないですね。
すなわち、1番、4番の枠組みはMECEではないということになります。
これをコンセプト的に表したものが下図で、四角形を全体集合(先ほどの例でいえばタブレット全体)としたとき、A、B、Cと分類しています。
一番左は、AにもBにも分類されない白抜きの部分 がありますからモレあり。しかも、AとBが重なっているのでダブりあり。お次はダブりはなくなりましたが、まだ白抜きの部分が残っているのでモレあり。3番目はモレはなくなったのですが、CがAにもBにも重なっていますから、ダブりあり。一番右のものがキレイにモレなくダブりなくMECEに分けた図ということになります。
ロジカルシンキングを使ったコミュニケーションでのMECE
では、ここで、ロジカルシンキングの二大分野の中でコミュニケーションに絞ってMECEの重要性を考えてみましょう。
ロジカル・コミュニケーションのツールであるピラミッド・ストラクチャは、主張を複数の根拠で支えるという構造でしたが、その複数の根拠を並べるときにはMECEになっている必要があります。
ちょっと卑近な例ですが、「あなたを愛しています」という主張をピラミッド・ストラクチャでつくった下記の例では、根拠を「顔」、「スタイル」、「性格」というMECE感がある三つの枠組みに分けて並べています。
もちろん、マニアックな人からは、「いや、『ニオイ』が抜けているじゃないか」というツッコミが入るかもしれませんが、それでも「目がキレイで」、「肌が白くて」、「髪がさらさら」のように、局所的な話ばかり並べ立てた枠組みよりもよっぽど説得力があります。
ビジネス上のコミュニケーションにおいても同様で、上司への報告や同僚への仕事の依頼でも、根拠のグルーピングの基準がMECEでないと後になって、「こういうポイントは考えたのか?」というツッコミが入ってしまいます。
もちろん、ダブりがあるのも問題で、コミュニケーションの際に同じ論点をくどくどとくり返されるのは、聞いている方には苦痛ですね。
ロジカルシンキングを使った問題解決でのMECE
こんどは、ロジカルシンキングを使った問題解決で考えてみましょう。
たとえば、「当社は利益が上がらなくて困っている。どこが問題か?」を考える際には、利益をどんどんと分解していって、問題の特定をすることから始めます。
- 売上
- 費用
- 仕入
- 広告宣伝費
- 支払家賃
- 減価償却費
- …
このとき、分解がMECEでないと本当の問題箇所を見逃してしまう懸念のはお分かりいただけるでしょう。たとえば、「人件費」が一番の問題なんだけど、それを漏らしてしまったら話になりません。
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