今回は、前回に引き続き「事実の三大チェックポイント」の2つ目、
「事実の読み違え」について考えています。

ロジカルシンキングの基本、数字について

      2009年│2008年│2007年
─────┼─────┼─────┼─────
売上高    9,341    9,143    7,854
営業利益   3,203     854    1,238
当期純利益  2,953    2,639    2,271

「食育事業に参入すべきである」という主張の根拠としてこの
損益計算書から「増収増益をしている企業は、食育に取り組んで
いる」と言ったら、それは「事実の読み違え」です。

だって、ビジネスの本業からの儲けを示す「営業利益」は2008年には
減少しているので「増収増益をしている」とは言えません。

 え?でも、当期純利益が増えてればいいんじゃない?

たしかに2008年も当期純利益は増えています。でも、営業利益が
減ったのに当期純利益が増えたと言うことは、おそらくは特別利益と
呼ばれる臨時的・例外的な収入があったから。たとえば、土地の
売却益とかね。

でも、これが継続的に発生するわけではないですから、少なくとも
「本業」という観点で見れば「増収増益」とは言えません。

なので、儲けを生む事業として成立するかしないかを論じている
ときに、当期純利益だけを見て「増収増益」=「儲かりそう」と
いうのは「事実の読み違え」なのです。

ロジカルシンキングにおける不適切なサンプリング

続いて「事実の三大チェックポイント」の3つ目、
「不適切なサンプリング」について見てみましょう。

たとえば、日本全体での企業活動の動向を調べたいなんて状況を考えて
見ましょう。ただ、日本にある会社(法人)の数は、全部で260万社。

すべてを細かくチェックすることはコスト的にも不可能です。

そこで…

ピックアップするとロジカルシンキングになるか

そんな時には、詳しく調査をする会社をいくつかをピックアップする
必要があり、これを「サンプリング」と呼びます。

前提は、サンプルとして抽出された企業は、全体を正しく表していること。
いわばスープの味見のようなもので、スプーン1杯でも全体の味が
分かるよ、と。

ところが、時にはサンプリングが不適切で、「その選んだ企業を調べても
全体のことは分からないよ」というシチュエーションもあります。

たとえば?

そう、

——————
a) 「ペコちゃん」の不二家は食育の先端的な取り組みをしている
  企業であり、この3年間業績も増収増益だ

b) 「白い恋人」の石屋製菓は食育の先端的な取り組みをしている
  企業であり、この3年間業績も増収増益だ

c) 三重県の郷土銘菓「赤福」の「株式会社 赤福」も食育に取り組んでおり、
  しかも3年間増収増益だ
——————

と言う例です。

では、この3社の例にもとづいて

 「増収増益をしている企業は、食育に取り組んでいる」

と主張したとしたら、どんなツッコミがかえってくるでしょうか?

「不適切なサンプリング」という観点から考えてみてくださいね。
続きは次回。

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