「ディベートって、どんなんだろう?」

そんな疑問を持った時ぜひ手に取りたいのがこちら。

茂木 秀昭著、ビジネス・ディベート

ディベートとは何ぞや?という話から始まって、ビジネスパーソンのスキルアップとしての意味合いや具体的な方法論まで、コンパクトにまとまっています。

欲を言えば実例がもうちょっと欲しかったとも思いますが、紙面の都合もあるし、なかなか文字だけでは伝わらないので、やむを得ないかな、と。

下記、ポイントを。

●研修前、ディベートのイメージは、正直とても悪かったと思います。人の発言の
揚げ足をとるイメージが強かったからです。研修後は、立場を代えて発言を考える
柔軟な思考をできるようにするための訓練であったと分かりました。

●ディベートは、競争原理も働き、ゲーム感覚で楽しくできますので、知的好奇心
をくすぐり、探求心や学習意欲を引き出せる手法でもあるのです。

●ディベートで養成できる能力
-論理的思考力(ロジカルシンキング)
-批判的思考力(クリティカル・シンキング)
-問題の本質を見抜く能力
-創造的な発想力
-問題解決能力
-傾聴力
-情報収集力および情報活用力
-企画・立案能力

●論題の種類
-事実に関する論題
 事実として正しいかどうか、原因と結果の因果関係があるかなどが議論される
  日本市場は閉鎖的である、わが社の製品販売低迷はデザインに原因がある、自
然エネルギー関連ビジネスは今後成長するであろう

-価値に関する論題
 問題の内包する価値観の是非や優劣などを議論する
  アメリカの競争社会より北欧型福祉国家の方が望ましい、非正規雇用は非人道
的である、

-政策に関する論題
 政策に関する論題は事実と価値を含んだもの
 日本は炭素税を導入すべきである、わが社はエコ製品事業に参入すべきである

●よい論題とは
-賛否が明確に分かれること
-中心になる課題は1つであること
-現状に重大な変化をもたらしたり、問題自体に重要性があること
-余談を与えるような表現は避けること
 「非人道的な非正規雇用は廃止すべし」には、「非正規雇用が非人道的である」
という前提がある
-「現状を変革するべし」と設定する

●合理的な議論のためのルール
-主張するものは証明すべし (証明なき主張は無効である)
 立証責任 (burden of proof)
 反証責任 (burden of rebuttal)
 無罪推定の原則 (presumed innocent until proven guilty)

-沈黙は同意を意味する

-建設的な議論をする

-人と議論を切りはなす

-意見と事実を切りはなす

●ディベートの原則
-ディベートは、自分の意見を言い合うのではない
-オープンで、フェアな議論をしなくてはならない
-相手を説得するのではない
-勝ち負けを決めるのが目的ではない

●論理的な議論とは
1. 主張 claim
2. データ (ground)
3. 論拠 (warrant)
4. 論拠を補強する裏付け (backing)
5. (推論の精度や確かさを表す)限定 (modality)
6. (推論が成り立つための条件を表す)留保条件 (reservation)

●議論を検証するポイント
1. データの有効性
2. 論拠の正しさ
3. 論拠と主張のつながり

●AREAの法則
 Assertion 相手の主張
 Refutation 反論とその理由
 Evidence 裏付けとなる証拠
 Assertion 自分たちの主張

●グループディベートの試合形式例
 肯定側立論 5     問題点、プラン、メリットなど主要な議論を提示し、
現状変革の必要性を訴える
 否定側反対尋問 4  立論の内容に関して相手に直接質問する。ここで引きだ
した答を反駁以降の反論への足がかりにする
 否定側立論 5     デメリットを提示し、肯定側の議論を検証する
 肯定側反対尋問 4
 否定側第一反駁 3  立論と尋問を踏まえて、相手側の議論への反論を重ねた
り、自分達の議論を伸ばしたり、反論された議論を立て直す
 肯定側第一反駁 3
 否定側第二反駁 3
 肯定側第二反駁 3
 否定側結論  3
 肯定側結論 3

●「議論(ディベート)をしても解決できないことの方が、議論せずに解決すること
よりましだ」
 ”It is better to debate a question without settling it than to settle a
question without debating it.” by フランスの思想家ジョセフ・ジュベール
(Joseph Jourbert)
  

●用語
 反論 (attack)
 反証(disproof)
 作戦タイム (preparation time)
 審査員 (judge)
 立論 (constructive speech)
 反対尋問 (cross-examination)
 反駁 (rebuttal)
 結論 (summary / summation)

●経済関連のディベート論題例
1. ガソリン税暫定税率を廃止すべし
2. 日雇い・登録型派遣を禁止すべし
3. 最低賃金を時給1,000円に引き上げるべし
4. 「お金があって性格が悪い相手」と「お金はないけど性格がよい相手」はどち
らがよいか *
5. 日本政府は、法人税を引き下げるべし
6. 日本は、基礎年金(国民年金)を税法式に移行すべし
7. 日本は炭素税を導入すべきである
8. 日本は同州制を導入すべきである
9. 日本政府による為替介入の是非
10. 日本政府は、第3のビールに対して課税強化すべし *
11. 日本はデフレ克服のため、財政金融政策を積極化すべし
12. コンビニ、スーパーの深夜営業を禁止すべし *
13. 日本は、米国産牛肉の輸入を再開すべし
14. 日本は消費税を25%まで引き上げるべきか *
15. 自動車の取得税と従量税は廃止すべし
16. 自動車の車検制度を廃止すべし
17. ふるさと納税の是非
18. カジノ合法化の是非 *
19. 高速道路無料化の是非
20. レジ袋は有料化すべきである *
21. 企業は年俸制を導入すべし
22. 郵政民営化は是か非か
23. アジア共通通貨を作るべきか否か
24. 従業員の発明の果実は、従業員に帰属させるべし
25. Co2排出権取引は是か非か
26. 日本は外国人単純労働者を積極的に受け入れるべし *
27. フリーターは損か得か

31. 電力を自由化すべきか

43. 日本は9月入学、入社制度にすべきである

44. 日本政府は、タバコの製造・販売・輸出入を禁止すべし

46. 日本におけるオリンピックの開催は経済的にプラスか

53. 買収ファンドの進出は日本経済にとって良いか

58. 日本は海外への原発輸出をやめるべし

59. 日本は男性の育児休暇を義務化すべし

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