「ロジカルシンキングを分かりやすく書いた本はないか…」。そんな風に思うときに手にとってしまうかもしれないのが、渡辺パコ先生のご著書、「はじめてのロジカルシンキング 3つのステップで考える! 」です。
ロジカルシンキングの3ステップ
著者の渡辺パコ先生はロジカルシンキングを使ったコミュニケーションを下記の3つのステップに集約されています。
- イシューを立てる
- ピラミッドストラクチャを作る
- 因果関係を整理する
実は本書の問題意識というのが、ロジカルシンキングを徹底的に分かりやすく伝えたいと言うこと。したがって、
「これだけやれば、論理的な思考に変われる」と言うキモの中のキモを取り出し、まとめたのがこの本の内容です
とのことなのです(3p)。
何を考えるかを考えるのがロジカルシンキング
「イシューとは主語と述語を持った疑問文」であるというのが渡辺パコ先生の説明です。そして、この疑問文への答えがロジカルシンキングで言う「メインメッセージ」、すなわち結論とのこと。すなわち、メインメッセージは「主語と述語をもった言い切りの文章」になります。
実例で見てみましょう。
イシュー:なぜ製品Aの売れ行きが悪いのか?
メインメッセージ:デザインに特徴がないからである
となります。
ただ、多くの人のクセとして、考えはじめるときに、先に結論を考えてしまう傾向があるそうです。たとえば先ほどの製品Aの例でも、
- 製品Aを扱ってくれる代理店を増やす
- 広告宣伝費を増やす
などを考えてしまうとか。しかし、
そういった結論を考えるより前に、まず自分が何を考えるかを先に疑問文のかたちで決める。つまり先にイシューを立てていないといけない。考え始める前に「何を考えるかを考えよ」というわけだ
と渡辺パコ先生は説いています。
ピラミッドストラクチャの作り方
ピラミッドストラクチャに関しては、下記の説明を渡辺パコ先生はしています。
ピラミッドストラクチャの、一番大事な「しくみ」は、メインメッセージと、その下にある3-5個のキーラインメッセージの関係。(中略)つまり、ピラミッドストラクチャは、メインメッセージを3-5本のキーラインメッセージで理由づけることで、説得力を上げる論理展開になるというわけだ。
ちなみに、理由づけを3-5個に絞っているのは、人間の記憶力の限界から来ているそうです。
そして、大事なのはその3-5個に絞った論点のそれぞれが独立している必要があります。なぜならば、コミュニケーションの際に反論を受けたときの強度を高めたいからです。
1つのキーラインに対する反論を、他のキーラインに影響させないために、きっちりと防火壁を立てる。つまり、3つの話を別のこととして切り分けて説明することが重要になってくるんだ。
とのこと。
ロジカルシンキングに適さない題材も散見される
本書で気になったのは、題材が必ずしもロジカルシンキングに適していないものも多いこと。たとえば、
「リラックマと遊びにうちに来て!」や「ペットを飼うなら犬より猫の方がいい!」というメインメッセージは、感情に根ざすものが多いだけにロジカルシンキングに適した題材とは言いにくいのではないでしょうか。また、因果関係の説明で「美人はモテる」を題材にWhy?で掘り下げていますが、「美人はモテる」→「男は美人を見ると気になる」ところが、トートロジー、つまり、「だってそうなんだもん」という理由づけに見えます。
なので、ここら辺は割り引いて、ビジネスに使える題材を選んで読むのが本書を読む際の正しい姿勢かと思いました。
目次
3つのステップを実践するだけでロジカルシンキング
何を考えるかが決まらないと考えがまとまるわけがない
まずは、それっぽくつくってみよう
もっとちゃんと説得しよう
ピラミッドストラクチャ完成 けっこういいかんじの説得
図からいろいろなドキュメントに展開しよう
思考力のデイリーエクササイズ
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