「ロジカルシンキングを簡単にマスターしたい…」そんな風に思うときに手にとってしまうかもしれないのが大石哲之先生のご著書、「3分でわかるロジカル・シンキングの基本」です。
ロジカルシンキングの基本CRFの原則
著者の大石哲之先生は、ロジカルシンキングを使って説得力を増すための方法として、「CRFの法則」を提唱されています。これは、
- 結論 (Conclusion)
- 理由 (Reason)
- 裏付け (Fact)
からなるものです。しかも、分かりやすく伝えるためにはこの順番で言うことが大切だとか。
なお、理由づけはグルーピングして3つくらいに絞るのが大事です。理由が5つも6つもある場合は、聞く方が飽きてしまう上に、理由づけそのものが分からなくなってしまうからです。そして、裏付けに関しては、
単純な事実やデータを羅列するだけでなく、表にしたり、分析を加えたりと、見せやすくする工夫をするべきです。また裏づけとなる事実やデータがひとつだけでは不十分な場合は、事実を増やして、説得力を増すことができます。
とのこと。
白紙の結論を避けるのがコンサルタント
次に結論を見てみましょう。たとえば、下記のような結論を悪い例として大石哲之先生は取り上げています。
- 営業部門では多くの問題が見つかった
- この製品には3つの利点があります
一見すると、「なぜこれが結論として悪いのか」と疑問を持ちますが、「これらは結論のようでいて、結論ではないのです」というところが最大の問題点。大石哲之先生の言葉では「白紙の結論」という言い方になりますが、メッセージや示唆がない結論は、結論とは言えないのです。
たとえば、
- 営業計画の立て方がバラバラ
- 予算と実績の管理が確実にできていない
- 日報・週報を採り入れているが、形骸化している
- 上長は、予算を振ったらあとは個人に任せきり
などの問題を羅列するだけではダメ。そこから、「営業部ではPDCAサイクルが実行されていない」という結論、あるいは仮説を導き出すのがコンサルタントの方法論だそうです。
ロジカルだけど面白くないコンサルのプレゼン
一方で、プレゼンテーションの説明に関しては、やや気をつけて読む必要があると感じました。「相手の聞く気をなくす『起承転結』話法」というパート(94p)では、起承転結による話し方を「まるで落語」の様に否定しています。逆に、「コンサルタントのプレゼンは論理構成素のもの」(p97)と続くわけですが、一般的には論理的なプレゼンテーションこそ面白さを出しにくく、プレゼンの目的である聞き手の説得には不向きな場合が多いものです。
むしろ、整合性を意識したストーリーを作るPARLの法則がプレゼンの王道です。ここは、必ずしもコンサルタントの方法論を真似しなくてもいいのではないかと感じました。
【目次】
論理的に考えるコツ
論理的に伝えるコツ
論理力を鍛えるコツ
論理思考を実践するコツ
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