なぜならば、前ページのロジックツリー「もどき」は、過去の様々な経験を思い出しながらつくっているだけに過ぎないから。そうではなく、本物のロジカルシンキングは、たとえ自分に経験がない分や出あってもゼロから考えられることだと思うのです。
実際、そのような目で先ほどの回答例を見ると、他にも様々な切り口がヌケていて、実用的ではないロジックツリーというのが分かります。
難易度は高いが実力アップになるロジカルシンキング演習
一方で、自社の業務と離れている題材をロジカルシンキング研修の題材として扱う場合は、これと逆のことが起こります。たとえば、下記の演習を考えてみましょう。
あなたの家族が急な腹痛で緊急入院することになりました。取るものとりあえず病院に駆けつけたあなたは、状況を説明を主治医の先生からうけるところです。お医者様の話を黙って聞いているだけでなく積極的に質問したいと思っていますが、何に関する質問をしたらいいでしょうか?
実際に家族の入院を経験したことがある人でも迷うところで、医療関係者でもなければ、「そもそもどのように取り組んだらいいか?」と戸惑います。それでも、時間をかけて頭をひねりつつ、
●病院での質問
├症状に関する質問
│
├診断に関する質問
│└どのような診断か分かるか?
│ └もし分からないとしたら、どこに行けば分かるのか?
│ └そのための障害はあるのか?
│
├治療法に関する質問
などを思いつければ、ゼロから考えるという意味でロジカルシンキングの訓練に間違いなくなります。
ということで、結論としては、自社に近い題材と離れた題材、両方共が必要です。もし時間がないときには、たとえば受講者が若手など経験がないときには近い題材、管理職向けにしっかりと学んでもらいたいときには離れた題材、と使い分けていくことになります。