「交渉ごとって苦手なんだよなぁ。だいたいあれ、センスの問題でしょ?」
と思っている人にこそ読んで欲しい一冊がこちら。
フィッシャー、パットン、ユーリー著、ハーバード流交渉術
評価は
★★★★★ (何度でも読む価値あり)(評価の基準はこちら)
この本で一貫して貫かれているのは、交渉だってセンスの問題ではなく、構造を理解すれば誰でも上手くなる、すなわちスキルというスタンス。
主に心理学的な知見を応用して、交渉にまつわる「秘術」をシロウトにも分かるように解き明かしてくれます。
もちろん、この本を読んだから明日からすぐ交渉上手、と言うわけにはいきませんが、交渉ごとって誰もが一生関わらなければならないエリアですから、この本をベースとしてじぶんなりにスキルアップしていけると良いのではないでしょうか。
ちなみに、同じ著者による「新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか」や、似たような書名のウィリアム ユーリー著、最強 ハーバード流交渉術―仕事が100倍うまくいくNoの言い方は、学べるものがほとんどないので、交渉に関してはこの本を読んでおけば十分です。
下記、ポイントを。
●交渉は、当事者の2者間だけでなく他の人も関わっている
→極めて政治的な状況
●原則立脚型交渉の4ヶ条
人と問題を分離せよ
認識の問題
他人が交渉内容について意見を述べると根拠もないのに推理をはたらかせてそれを事実と取り違えてしまいがち
究極的には争いは客観的事実にあるのではなく当事者のアタマの中にある
感情の問題
意志疎通の問題
相手を検討過程に必ず参加させ、結果に責任をとらせよ
多くの人は、相手の見解にいかなる正当性を認めないことが最善策であると考えているがこれは間違い。相手の言い分もきちんと理解しているということを示さない限り、コミュニケーションは図れない
立場でなく利害に焦点を合わせよ
コミットメントのワナが典型的な立場の問題
対立する立場の背後には多くの共通の利害が存在している
なぜ相手はそう発言するのか、を問うて見よ
双方とも複数の利害があることに気づけ
相手の利害を問題の一部として認めよ
答えの前に問題を示せ
認知的不協和を乗り越えるために相手は行動を起こす
行動について決定する前に多くの可能性を考え出せ
早まった判断をすること
単一の答えを探そうとすること
分け合うパイの大きさを一定と決めてかかること
相手の問題は相手が解決すればよいと考えること
選択肢を考え出す行為とそれに評価を下す行為を分離すること
単一の答えを探すことよりも幅広い選択肢を提示すること
互いの利益を追求すること
相手が決定しやすい方法を見つけてやること
結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ
BATNAを決める
BATNAを決めることが、交渉過程で得た情報をうまく利用するのを妨げることもある
合意に達しない場合にどうすべきかをあらためて決めておく(不調事態策)
不調時対策がよいほど交渉に強くなれる
相手側の不調時対策も考慮せよ
●
重要な発言をする前に相手に何を伝え、何を引き出そうとしているのかを自問せよ
相手が話にのってこなかったら
こちらとしてできるだけのことを考えてみる
柔道型交渉
断言するのでなく問いかける
沈黙する
第三者の役割に的を絞る
●「ギリギリの線」とBATNAは別物。BATNAを上げることによって、ギリギリの線を上げることができる。
ウィリアム ユーリー著、最強 ハーバード流交渉術―仕事が100倍うまくいくNoの言い方
●欲しいものを得るために(良好な関係を壊してでも)力を行使することと、(力の行使をあきらめてでも)良好な関係を維持すること。この二つを二者択一ととらえるのではなく、同時に成し遂げ、互いに敬意を抱ける建設的な対決の場へ相手を引きずり込むのだ。
R. フィッシャー、D. シャピロ著、新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか
●五つの核心的な欲求が感情の源
価値理解:自分の考え方に価値がないとされる
相手の考え方を理解する
相手の考え方の中に価値を見いだす
自分の理解を言葉にして相手に伝える
つながり:敵として扱われ、距離を置かれる
自律性:意思決定をする自由度が侵害されている
ステータス:自分のおかれた位置が、他者よりも劣っている
役割:自分の現在の役割が満足できない
●腕相撲エクササイズ
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