ビジネスにおいて、物事の全体像を押さえた上でまとまった文章を書く必要がある人が手に取ってしまうかもしれないのが、高橋慈子先生のご著書「図解入門ビジネス 最新ロジカル・ライティングがよーくわかる本」です。ちなみに高橋先生といえば、パソコン黎明期から解説書を執筆されていて、その出版数は30冊に近い数を数えています。そこでご自身が培った、一見分かりにくいものを分かりやすく説明する技術が本書のバックボーンとお見受けしました。

いきなり始まるあなたのロジカル度チェック

本書の面白いのは、最初の方に「あなたのロジカル度チェック」というものがあるところ。全14個の質問に答えて、下記6つの分野でロジカル度がチェックできるというものです。

  1. システム思考力
  2. アイデア発想力
  3. 考え方の柔軟性
  4. 情報収集力
  5. 表現力
  6. ロジックを組み立てる力

具体例で見てみましょう。「システム思考力」は、「関連することや全体をイメージして考えることができる」、「組織についてよく理解している」などの設問にイエスと答えると高く点数がつくようになっています。また、「考え方の柔軟性」は、「物事の形式ややり方を重視するよりは、結果を重視する方だ」、「経験したことがないことを経験するのは楽しい」にイエスと答えると高くなります。

結果が6角形のレーダーチャートで表されますが、著者の高橋先生曰く、

特定の項目が低くないかをチェックしましょう。そこがロジカル度の弱点となります。

とのことで、自分の弱点を見つけ、そこを意識的に補強していくとロジカル・ライティングが上手になるのでしょう。

ロジカル・ライティングにまつわる方法論が盛りだくさん

また、ロジカル・ライティングにまつわる様々な領域が紹介されているのも本書の魅力です。目次をざっと拾っていくだけでも、

  • システム思考
  • ゼロベース思考
  • フレーム思考
  • KJ法
  • ロジック・ツリー
  • ピラミッド型
  • 分かりやすく簡潔にするためのライティング技術
  • 文章の説得力を高めるライティング技術

などなどが目白押し。逆に言うと、一つ一つのパートの深さが足りなくなるという嫌いはありますが、「とにかく色々と知りたい」という読者にはありがたいのではないでしょうか。

ロジカル・ライティングの説明がミスリーディングなのが残念

ただ、肝心のロジカル・ライティングの説明が十分ではないのが、本書の残念なところです。たとえば、提案書に盛り込むべき要素をMECEで整理するというパート(122p)。まず、大前提としては、提案書はMECEで書くべきではありません。何かの提案に関する要素をモレなくダブりなくすべて盛り込んだら情報量は膨大なものになってしまうので、読み手はうんざりしてしまうでしょう。もちろん、ここでも著者は「読み手のメリットを意識して情報を選択します」と書いてはいるのですが、MECEといわれると読者は「網羅しなければならないんだ」と思ってしまってミスリーディングになってしまうでしょう。

また、MECEといっている割には、実は事例がMECEではありません。「新製品のよさを伝え、現在の製品との置き換えを検討してもらう」というテーマでピラミッド構造で情報を整理していますが、キーラインの枠組みが

  • なぜ、提案するのか
  • いったい、どこがよいのか?どう役立つのか?
  • 金額的にはどうなのか?高くはならないのか?

という事例が紹介されていますが、かなり抜け漏れがあってMECEではありません。単純に6W2Hのフレームワークを援用するだけでも、「いつ?」「どこで?どこに?」、「だれが?」「誰に?」などがヌケていることに気づきます。

ということで、本書はロジカル・ライティングに関する内容はさっと読み飛ばして、むしろその関連領域で様々な手法があるのを概観するのに最適だと思いました。

本書の目次

第1章 「ロジカル(論理的)」である強み
第2章 ロジカル・シンキングの基本を体験しよう
第3章 ロジックを「見える化」しよう
第4章 ロジックを「文書」に落とし込もう
第5章 わかりやすく簡潔に ライティング技術1
第6章 文章の説得力を高める ライティング技術2


画像はアマゾンさんよりお借りしました

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