ロジカルライティング「だけ」でなく…

「文章がうまく書けたらいいなぁ」と、社会人になるとますます思いますよね。学生の頃は、小学校の作文から始まって大学受験の小論文。もちろんいい文章が書けるにこしたことはないのですが、それほどメリットは感じません。でも、ビジネスとなると、文章でのコミュニケーションは想像以上に多いもの。日常のメールは当然として、レポートを書くのも企画書をまとめるにも、文章力で能力をはかられるような側面もあります。ところが、私たちの多くは文章を書くノウハウを教えられていないので苦労するのは当然…。

と言うときに手に取りたいのが中野先生の著書「6分間文章術 想いを伝える教科書」です。ちなみに内容は、ロジカル・ライティングと言うよりも、「エンパシー・ライティング」です。エンパシー(empathy)とは共感を表す英語で、要するに読み手に共感を持ってもらうための文章の書き方。ビジネスでは、ロジカルな文章ももちろん大事ですが、時には聞き手の共感を引きつけるのも大事。と言うことで、論理と心理を車の両輪として進めていくべきであり、ロジカル・ライティングと共にマスターしたいテクニックです。

共感を得るライティングの10ステップ

ライティングの具体的な方法論として、著者は下記のステップを提唱しています。

  1. ゴール設定
  2. ポジティブなセリフ
  3. ポジティブな感情
  4. あなたが求める行動
  5. ポジティブへの言葉掛け
  6. ネガティブな感情
  7. ネガティブなセリフ
  8. ネガティブの背景・ホンネ
  9. ネガティブへの言葉掛け
  10. テーマ・タイトル

と書き出すと「なんだか大変そうだなぁ」と思うかもしれませんが、本書の素晴らしいところは1枚の図(チャート)を使ってこれらを考え、結果としてそれほど労力をかけずに文章が書けると言う手法です。ちなみにこのワークシート、巻末にジャバラになってついていますので、ご興味がある方は本屋で手に取ってみてください。

ネガティブな感情も書き出す必要性

上述の10ステップで特に面白いのは、ネガティブな要素も取り扱っているところです。著者曰く、

ネガティブ側の人にも想いを寄せ、配慮しようとすることで…心遣いのアイデアが生まれています。こういったちょっとした気遣い(心遣い)が、より大きな共感の歯車が回り出す潤滑油になります。

とのこと。これだけだと、正直「分かったような、分からないような…」だったのですが、facebookとツイッターの関係性かな~と考えるとピンときました。というのは、facebookって、みんないいことしか書かないじゃないですか。「今日はこんな素晴らしい出会いがありました」とか、「今日も朝からニコニコパワー全開!」みたいな。こういうのを読み続けると、疲れるんですよね。「あ~、またか、ハイハイ」と感じて共感どころではありません。

ところが、同じ人がツイッターではネガティブなことを書くんですって。「期待して参加した飲み会がグダグダで途中で帰りたくなった」、「月曜の朝一に打合せはかったるいなー」とか。この両面を見ると、「なんだ、私とおんなじなんだ」と共感を覚えると思うんですよね。

ネガティブ・ライティングの方法論

ちなみに著者は、ネガティブな感情の書き方として、

ポジティブな感情と真逆なネガティブな感情を書く

思い浮かばない場合は、「つまらない」、「どんより」、「しらけている」、「よくわからない」、「不安」、「不満」、「焦り」の7つから選ぶ

を提唱しています。さらに、そのような状態にいる人が、あなたの文章を読んだらなんと言いそうですか?と自分に問いかけて、リアルなセリフで考えるのがこつだとか。もちろん、それでおわりではなく、そのネガティブな人にどんな言葉をかけようか、と考えて、ある意味その人の不安を払拭するセリフでまとめるのです。

途中にも書きましたが、本書で提唱されているエンパシー・ライティングは共感を誘うという意味では、ロジカル・ライティングと補完的な関係にあると考えられます。ロジカルだけでなく、こちらの分野も知りたい方は手に取ってはいかがでしょうか?


画像はアマゾンさんからお借りしました。

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6分間文章術

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