と聞いて、「あれ?シリーズ名ヘンじゃない?」と思った人は鋭いですね。
「交渉」と聞くと、普通は利害の対立する2者が、自分の言い分を通すために声高に主張するイメージがあります。
このような「あっちを立てれば、こっちが立たず」という状況はすでに大きさの決まったパイを奪い合うだけで、新たな付加価値は何もないので「ゼロサムゲーム」、なんて言ったりしますね。
「サム(sum)」=「合計」しても、増分はゼロなのですから。
ロジカルシンキングによる交渉はプラスサム
でも、ビジネスにおける交渉ではほとんどゼロサムゲームはありません
だって、自分にとっても何らかのメリットがなければビジネス上の付き合いは生まれないのですから、交渉の必要すらないわけです。
なので、一見するとパイを奪い合うゼロサムゲームの交渉を、
「ちょっと待って。この条件を加えれば、全体としてのパイも大きくなるよね」と、
「プラスサムゲーム」に変えることにビジネス・ファシリテーターの役割はあります。
ロジカルシンキング~典型的なゼロサム
「交渉による合意の形成」シリーズでは、まずは典型的な「ゼロサムゲーム」から見てみましょう。
海外旅行に行った人ならイメージがつきやすいと思いますが、何かを買うときの値切りです。
話を分かりやすくするために、たとえば砂漠のオアシスで、一杯のオレンジジュースの価格を交渉しているとしましょう。
ジュース売り: 「だんな、このひんやり冷たいオレンジジュース、100円あるよ」
旅行者 : 「100円はなんぼなんでも高いだろ。せいぜい50円だ!」
ジュース売り: 「50円!とんでもない!!そんな値段で売ったら儲けなんか
なくなっちゃう。まけるとしても、せいぜい90円あるよ」
旅行者 : 「なら、間をとって60円で手を打とう。どうだっ!」
ジュース売り: 「だめだめ。せめて80円だな。これ以上はまけないよ」
旅行者 : 「そこをなんとか、70円で」
ジュース売り: 「それでは売れない。80円はダンコ死守するもんね」
なんて会話が延々続きます。
たいていの場合は100円から50円の間のどこかでまとまるのですが、これはジュース売りが得をすれば旅行者が損をするという状況で、すでに決まった大きさのパイを奪い合う「ゼロサムゲーム」です。
では、これを、パイの大きさを大きくするプラスサムゲームに変えるためにはどうしたらいいでしょうか?
ビジネス・ファシリテーターが、「旅行者その2」として会話に加わるつもりで考えてみて下さい。
答は、次回
このシリーズを読み終わる頃には、「交渉」に対するイメージが変わっていたら嬉しいですね。
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