「考具」とは考える道具
ロジカルシンキングと言えばその名の通り「考える」ことが中心ですが、そのためのさまざまなツール<道具>を解説したのが加藤昌治先生のご著書、「考具 ―考えるための道具、持っていますか?」です。著者の加藤先生は広告業界の方なので、若干アイデアをひねり出すというクリエイティビティの側面が強調されています。加藤先生は奥付の著者紹介によると、
情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画を立案、実施する毎日。
とのこと。ちなみに、「考具 (こうぐ)」は加藤先生の造語で、その名の通り考えるツール(材料)のこと。加藤先生曰く、
「考具」はあなたをアイデアに溢れた、規格型の人間にします。「考具」を手にすれば、あなたのアタマとカラダが「アイデアの貯蔵庫」、「企画の工場」に変わります。
と、さすがにギョーカイ人らしく魅力たっぷりに解説をしてくれています。
徹底的に考え抜くのはロジカルシンキングと同じ
「考具」の中でもとりわけ面白いと思ったのが、「臨時新聞記者」(80p)と言うもの。これは、考える材料として専門分野の知識が必要な時にどうするかという考え方です。具体的には、
それはあなたが臨時の「新聞記者」になってしまうことです。課題解決のヒントを求めて現場に行くことです。そして取材してください。
となります。ただ、その臨時新聞記者になる際にはコツがあって、それが
すぐに自己規制してしまいがちですが、あえて質問しちゃってください。こんなこと聞いたら恥ずかしいな、素人っぽいな、と想いがちです。でも後になって聞けばよかった、と後悔することのないように。
と、とにかく何でも、芋づる式に聞いてしまおうということです。実はこれはロジカルシンキングにも通ずるところで、徹底的に考え抜くという観点では、クリエイティブな発想だろうがロジカルシンキングであろうが同じなのでしょう。
アイデアとは既存の組み合わせ
ただ、意地悪に捉えれば、本書で紹介されている考具は、はっきり言ってありきたり、というか、誰かがどこかで言っていることの寄せ集めに過ぎません。下記、リスト化しましたが、著者オリジナルのものと言えば「七色いんこ」1つぐらいではないでしょうか。
もっとも、筆者は
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない
と、ジェームス・ヤングの言葉を引用して言い切っています。すなわち、誰かがどこかで言っていることでも一堂に会して紹介することで新しさを出しているというのが本書の本質なのだと思います。
【コンテンツ面でのポイント】
●どうしたら必要な情報が入ってくるか
1. カラーバス
2. 聞き耳を立てる
3. ちょいメモ
4. 七色いんこ
5. フォトリーディング
6. 臨時新聞記者
展開・展開・展開!
7. アイデアスケッチ
8. ポストイット
9. マダラート
10. マインドマップ
11. アイデアスケッチ
12. 連想ゲーム
13. オズボーンのチェックリスト
14. ブレーンストーミング
●企画=アイデアの四則演算
15. 5W1Hフォーマット
16. タイトル
17. ビジュアライズ
18. マンダラート
19. 企画書
●時にはスパイスを効かす
20. アイデアマラソン
21. 問いかけの展開
【マーケティング面のポイント】
●編集者はTBSブリタニカ小泉伸夫氏 http://www.1101.com/editor/2005-03-28.html
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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