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欧米人は当たり前にうけているパラグラフ・ライティングの訓練
ビジネスにおける文章力の重要性はますます増しています。インターネットが普及して以来、メールにしてもホームページにしてもSNSにしても、文章で自分の考えを表明することが多くなっています。ですから、分かりやすい文章を書くのは必須のスキル…なのですが、日本人の多くのビジネスパーソンは、ライティングの訓練を受けていません。実は欧米では、学校の授業でライティングをみっちり習うそうです。
そんな背景から解説してくれているのが、倉島先生のご著書「論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)」です。ライティングの訓練に関する記述を抜粋すると、
欧米では、論理的な文章の書き方を、学校の授業で学びます。早ければ小学校から学び始めます。遅くても、大学1年生のときに「アカデミック・ライティング」とか「フレッシュマン・ライティング」という科目で、論理的な文章の書き方を、半年から1年間(1年間学ぶと授業時間数だけで70時間程度)かけて学びます。
とのこと。その手法が本書のテーマである「パラグラフ・ライティング」です。
パラグラフ・ライティングの7つのルール
パラグラフ・ライティングの中心になる概念、パラグラフは、
一つのトピックを説明した分の集まりのことです。(中略)パラグラフは原則として、一つの要約文で、複数の補足情報の分で構成します。
と定義されます。ちなみに、パラグラフは「段落」と翻訳されることもありますが、著者曰く
パラグラフと段落は似ていますが、パラグラフは1トピック限定で、要約文があるところが違います。
とのこと。
このパラグラフを使ったパラグラフ・ライティングは、7つのルールによって実現できるというのが著者の提唱です。すなわち、
- 総論のパラグラフで始める
- 1つのトピックだけを述べる
- 要約文で始める
- 補足情報で補強する
- パラグラフを接続する
- パラグラフを揃えて表現する
- 既知から未知の流れで繋ぐ
です。
重要な順に並べるのがパラグラフ・ライティング
その中でも特に重要だと感じたのが、3番目の「要約文で始める」というもの。これによって、
先頭に要約文があれば、読み進むべきかの判断が素早くできますし、詳細もわかりやすくなります。
とのこと。実はこれは1番目の「総論のパラグラフで始める」にも共通することで、文章全体でも、ここのパラグラフにおいてもサマリー(要約)から始めるのがパラグラフ・ライティングのキモであると理解しました。
この前提として著者は、
文章では、読み手が文章を全部読む保証がないので、情報は重要な順に述べます。すべて読まないにしても、ほとんどの人は上から下に読みます。そこで、重要な順に描いておけば、重要な情報ぐらいは読んでもらえます。
と述べていて、これは確かにそうだろうな、と納得感があります。
パラグラフ・ライティングだけではない意味の伝わりやすさ
一方で、本書にの中には記述が煩雑で、パッと読んだだけで理解できないところも散見されます。たとえば、30pの「トピックとレイアウトの対応が重要」というところ。
パラグラフの最大の特徴は、トピックとレイアウトが対応していることです。トピックとレイアウトが対応すると、伝わる文章になります。
パラグラフでは、ロジックの構成単位と、文章のレイアウトの固まりを一致させます(下図参照)。1つのトピックは1つのパラグラフ、すなわち1つのレイアウトの固まりに対応します。
「トピック」「レイアウト」「ロジック」などカタカナ用語がたくさん出てきて、「え~っと、どういう意味だっけ?」と、図(引用していません)を見てもパッと理解することができませんでした。
本書で提唱されているパラグラフ・ライティングは、どちらかというと「意味の固まり」を意識した文章表現ということですが、それ以外にも「伝わりやすさ」の要素はあるのではないかと思いました。25pで「欧米のビジネス書にだまされるな」というちょっと過激なタイトルでは「ピラミッドでロジックを組みましょう」というテーマを否定しているところとあわせて考えると、おそらくは、著者の頭の中では下記のような位置づけになっているのではないかと思います(あくまでも想像です)。
「伝わりやすさ」の要素 | 参考文献 |
日本語としての文章表現。「てにをは」など | 「日本語の技術」 |
文と文とのつながり。主張→根拠、など。 | バーバラ・ミント著「」 |
構成。なにを、どういう順番、どのようなグルーピングでいうか | 本書、「論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス) 」 |
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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