2016-10-27

ロジカルシンキングの研修をウェブ上でお届けする試みとして、ロジカルシンキングのロングセラー、岡田、照屋両先生のご著書「ロジカルシンキング 論理的な思考と構成のスキル」(以下、本書と呼びます)の回答例を示します。

ロジカルシンキングセミナー

今回は「間違った観察のSo What?/Why So?に気づけるようになろう」というテーマから、p109のパスタソースのプロモーションです。

「ミートソースライトのプロモーションとして、新商品導入キャンペーン、ヘルシーダイエットキャンペーン、期末ボリュームキャンペーンの3つを実施した。」

という文章が適切ではないという前提の下、どのように改善したかが問われていいます。下記、設問を記載します。

次の図にある文章Aは、図Bを観察のSo What?したつもりで書かれている。これは正しいSo What?だろうか。正しくない場合は、適切な観察のSo What?に直してみよう。

ヒント1: 正しい観察のSo What?を考えるヒントは、この図がビジネスシステムであることだ。ビジネスシステムとはどんなものだったか確認しよう。この文章では、図の枠組みを説明したに過ぎない。

ヒント2:短くまとめればよい、というものではない。あなたの考えたSo What?からこのチャートに盛り込まれた情報を鮮明にイメージできるだろうか。

チェック!:So What?をすべき情報の中で、自分の気になっている一部だけを取り上げてSo What?していないか?必要ない情報であれば、そもそも提示する必要がない。必要のある情報は大きな漏れがないようにSo What?する

ロジカルシンキングで必要・不必要を判断する

これを元の改善したメッセージ(回答例)が下記になります。

新商品ミートソースライトは、上期の目標に対して売上、収益、利益率ともに未達であった。期中に目標が達成できないことが明白になったため営業主導でプロモーションの方向転換を行った結果、売上の改善は見られたが値引きやインセンティブの供与による利益率の減少につながった。

上述の「チェック!」を考慮すると、何を「必要」と考えて何を「必要ない」と考えるかがポイントで、ここがロジカルシンキングの見せどころです。大きな項目としては、「目的」、「プロモーション場所」、「内容」、「業績」、「特記事項」の5点がありますので、一つひとつチェックしてみましょう。

まず「目的」。結論としてはこれは「必要ない」と判断しました。なぜならば、

この一連のプロモーション活動の大目的が売上及び収益の達成にあると考えたからです。それを細分化した個々の目標(たとえば、新商品の認知度アップ)は、大目的実現のためのサブの目的という位置づけですから、So What?した結果に含める必要はないと考えたのです。逆に売上・収益目標とその達成状況のほうは「必要」と考えてメッセージに盛り込みました。

次の「プロモーション場所」ですが、これも「必要ない」と判断しました。スーパーマーケット、コンビニ、ディスカウンターなど、「普通に考えてパスタソースを売っている場所」が述べられているので、わざわざいう必要がないと判断したためです。

次の「内容」は、前半(「新商品導入キャンペーン」と「ヘルシーダイエットキャンペーン」)の情報は「必要ない」、後半の「期末ボリュームキャンペーン」は「必要」と判断しました。なぜならば、「期末ボリュームキャンペーン」に記載されている値引きやインセンティブの供与は上述の大目的である売上・収益のと関連しますが、それ以外は直接の因果関係は見えなかったためです。

ちなみに、言葉の解説をしておくと、「ボリュームインセンティブ」は、ボリューム、すなわち一定の売上を達成した際に支払われる販路(卸、小売)への報償金(インセンティブ)を指すと考えられます。「場所」では、「スーパーマーケット」、「ディスカウンター」となっているので、小売へのリベートの提供などでしょう。経理上の取り扱いはおそらくは売上高から差し引く、もしくは販売促進費に当たりますので、いずれにしても収益(利益)を下げる方向に働きます。

次の「業績」は、上述の大目的に直接関連することですから、So What?したメッセージに盛り込みました。もしくは、その次にある「特記事項」とあわせて考えると、下記のような状況は根拠を持った仮説として導き出されるのではないでしょうか。

「ヘルシーダイエットキャンペーン」では売上がほとんど伸びずに(15億円から20億円)、このままでは惨憺たる結果に終わりそう。プロモーションを主管するマーケティング部は利益率の低下を恐れるあまりに思い切った手を打てていないと判断した営業部が、強引に値引き・インセンティブの供与を中心とした新たなプロモーションを実行した

文を短くすることがロジカルシンキングではない

なお、設問の「ヒント2」にあるとおり、観察のSo What?でメッセージを結晶化する場合は、文字数にはあまりこだわるべきではないと考えます。というのは、よくできた(練り込まれた)文章は文字数にかかわらず頭の中にスッと入ってきて「長い」と感じないものなのです。逆に、単に情報をつぎはぎしただけ、あるいは悪い例として紹介されている文章Aのように単に枠組みを説明しただけ(パッケージ問題)の文章は、たとえ文字数は少なくても「なんだかピンとこない」と長く感じるからです。

むしろ、今回のテーマの通り、必要と不必要なことを切り分けて、必要なことを必要十分なだけの文字数で表現することがロジカルシンキングにおけるメッセージ結晶化のポイントです。

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