ロジカルシンキングの研修をウェブ上でお届けする試みとして、ロジカルシンキングのロングセラー、岡田、照屋両先生のご著書「ロジカルシンキング 論理的な思考と構成のスキル」(以下、本書と呼びます)の回答例を示します。
まず前提の確認ですが、本書の第1章「相手に『伝える』ということ」、第2章「説得力のない『答え』に共通する欠陥」(まとめて第1部「書いたり話したりする前に」)は、ロジカルシンキングを使ってコミュニケーションを改善するための方法論と心構えが述べられています。一方で、第3章「重複・漏れ・ずれを防ぐ」は情報整理の話であり、必ずしもコミュニケーションに関係するものではありません。
ロジカルシンキングのツールで考えると、第1章、第2章はピラミッド・ストラクチャの担当する領域であり、第3章はロジックツリーに関わるものです。したがって、ロジカルシンキングの初心者の中には、「あれ?第3章で突然話題が変わった?」と違和感を感じる人もいるでしょう。
もちろん、最終的には、ピラミッド・ストラクチャの「2段目」、すなわちキーラインメッセージをMECEな枠組みにしたがって考えるという点でつながってきます。ただ、これを理解するのは若干難しいため、ここでは「MECEを理解するため」と割り切って例題に取り組むことをお勧めします。
まずは、80pの問題1です。
設問:世の中にはいろいろな「お弁当」があり、そのバラエティは増えるばかりだ。「世の中にあるお弁当」を全体として、どのように整理できるだろうか。MECEに整理してみよう。
ヒント1:のり弁、しゃけ弁…とあげているようでは道は遠い。お弁当は買うものだけか?また、買いに行くものだけか?
ヒント2:「買うお弁当」の中をさらに分解するとき、何に着目して分解するか?「お弁当」そのものの何かか?「買う」を5W1Hでで分解すると?
ヒント1は「ルートコンセプト原則」、すなわちロジックツリーのトップダウンアプローチの際には、根本に近いほど具体物ではなく抽象的な概念(コンセプト)でまとめることの重要性を説明するものです。一方で、ヒント2は、このヒントそのものが難易度を上げる要因になってしまっています。著者が何を意図しているのか若干分かりにくいのですし(「『お弁当』そのものの何かか?」は何を意味するか不明)、5W1Hで分解するとWhyの部分が難しくなってしまうためです。
したがって、多少「苦しい」ところもありますが(WhyとHowが若干無理やり感がある)、回答例を下記に示します。
※この回答例と解説はロジカルシンキング・カレッジの考えを示すものであり、本書の著者が提示した回答例ではありません。
世の中のお弁当
├お金を出さずに手に入れるお弁当
│├自宅から持ってくるお弁当
││├自分でつくって自宅から持ってくる
││└誰かに作ってもらって自宅から持ってくる
│└他人に持ってきてもらうお弁当
└お金を出して買うお弁当
├Why
│├個人が必要だから買うお弁当
││├自分が必要だから買うお弁当
││└他人が必要だから買うお弁当
│└組織が必要だから買うお弁当
├What
│├最初から温かいお弁当(ほか弁)
││├メインディッシュが決まっているお弁当(のり弁、しゃけ弁等)
││└メインディッシュが決まっていないお弁当(幕の内弁当、彩り野菜のお弁当等)
│├最初は常温のお弁当(コンビニ弁当)
│└最初は冷たいお弁当(冷凍食品)
├Who
│├自分から買いに行くお弁当
││├お弁当専業のお店に買いに行くお弁当
││└お弁当以外にも扱っている店に買いに行くお弁当
│└届けてもらうお弁当
├When
│├食べる日に買うお弁当
││├午前中に買うお弁当
││└午後に買うお弁当
│└食べる日より前に予約しておいて買うお弁当
├Where
│├屋内で食べるお弁当
│└屋外で食べるお弁当
└How
├食器で食べるお弁当
│├箸で食べるお弁当
│├フォークで食べるお弁当 (スパゲッティ弁当)
│├スプーンで食べるお弁当 (オムライス弁当)
│└それ以外の食器で食べるお弁当(コテで食べるお好み焼き弁当とか?)
└手で食べるお弁当(サンドイッチ等)
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