「交渉による合意の形成」シリーズ、実際のビジネスの場面を想定しながらいかに合意を形成するかを考えています。

「汚れ仕事」を押しつけあうという不毛な「1カード交渉」にどんなカードを追加できるか?

ロジカルシンキング~追加カード

たとえば、ファシリテーターとしてこんな介入はあり得ますね。

「評価」 
 :「この問題は社長直轄の対策チームで対応することになるでしょうから、
   そのチームリーダーにはしかるべき人があたるべきですよね」

ご存じの通り、この事件の舞台となっているスロービズ社は創業社長が健在ですから、社長に認められる機会というのはオイシイものです。

「リソース」
 :「対策チームにはクロス・ファンクションで各部門からも人を出してもらいましょう」

今の仕事で手一杯で、とてもじゃないが新しい仕事、それも「汚れ仕事」を引き受ける余裕なんてない、と思っている人でも、人員が確保できるのであれば、やってもいいかな、と考え直すこともあるでしょう。

そして、これはなかなか会議の場では口に出せないので、1対1の場で言うのかもしれませんが、

「政治力」
 :「ここは一つ、製造部やマーケティング部に恩を売っとくチャンスじゃない?
   あとあと仕事がやりやすくなるよ〜」

これはこれで魅力的ですよね。

ロジカルシンキング~最重要カードとは

さあ、そして、重要なカードがもう1枚。それは、

 「大義」

です。

つまり、「全社視点から合理的に判断すると、どの部署にまかせるのがもっとも良いか」、という発想です。

これがないと、いくら合意を形成できたって意味ないですからね。

もちろん会議のリアリティとしては政治力をぶつけ合う戦場ですが、「合理的な意思決定の場」という「表」の役割を忘れてはなりません。

というか、あくまでも「合理的な意思決定」が「目的」としてあるべきで、それを達成するための「手段」としては、政治力にも目を配らなければならない、というのが正しいあり方。

実際の「異物混入事件」をそのような観点からみると、こんな「落としどころ」が考えられます。

 「今回の件は、ヘタをすると会社の信用問題になりかねない。
  一番経験が豊富で他の食品会社の異物混入の際の対応もよく
  知っている広報室に主導してもらって問題解決を図るのが
  良いだろう。

  マーケティング部がでしゃばりすぎると、仲が悪い営業部が反発して
  全社体制が取れない危険があるので、その意味でも広報室に
  陣頭指揮を執ってもらうのがよい。

  広報室なら社長とも近いし、非公式に社長に情報共有もできるし。」

この「目的」に向かって、「交渉のカード」を組み立てていって、合意の形成を目指しましょう。

さあ、いよいよ次回、解決です。

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