「交渉による合意の形成」シリーズ、前回は交渉で「カード」、すなわち条件を追加することによってパイの大きさ、つまり全員のハッピー度合を大きくできることを確認しました。

ロジカルシンキング~他に考えられるカードとは

屋台のジュース売りの例に戻ると、「カード」は多ければ多いほどよくて、「価格」、「量」に加えて他にどんなカードが追加できるでしょう?

ちょっと考えてみても、「プロモーション」、「時間」、「品質」、「リピートオーダー」なんてのがあり得ますよね。

「プロモーション」
  :「じゃあ、お客さんを集めるのを手伝うから、1杯70円にしてよ」

「時間」
  :「じゃあ、夕方になって売れ残りがあったら、1杯70円にしてよ」

「品質」    
  :「じゃあ、ジュースを絞った残りのオレンジを1個20円で売ってよ」

「リピートオーダー」
  :「じゃあ、明日も買うから1杯70円にしてよ」

など、いろいろ考えられます。

ところが、交渉している本人達はアツくなっているので、意外と他のカードには気づかないもの。

そこを、横から「こんなカードもあるよね」と教えてあげるのがビジネス・ファシリテーターの役割であり、だからこそ会議を合意にまで導いていけるのです。

ロジカルシンキング~交渉の罠

ところが、実はこれ、前提条件があるんです。
それは、交渉する2者の最優先のカードがずれていること。
逆に、もしもどちらの交渉者も同じカードにこだわっていると、なかなか交渉はまとまりません。

またシンプルな例で考えてみましょう。
例の、「オアシスのジュース売り」ケースです。

もともとは1杯100円だったジュースを70円まで値切ることが出来たのは、最優先のカードがずれていることに気づいたでしょうか?

旅行者にとっての最優先のカードは価格であり、ジュース売りにとっての最優先のカードが売上が一定規模を越えることならば、お互いにハッピーな合意にたどり着けます。

ところが、もしも二人とも価格にこだわっているとしたら?

そう、たとえば、ジュース売りはすでに損益分岐点を上回る売上を上げていて、あとは売上よりも1回あたりの取引で生まれる利益にこだわりたい場合などです。

この場合は、「2杯で140円」という条件では合意するのは難しいですね。

だって、ジュース売りは利益を確保するために、1杯80円にこだわりそう。

なので、カードを追加することによって、プラスサムゲームにもっていけない。つまり、合意を形成するのが難しい状況もある、と理解しておきたいものです。

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いくらでもある交渉のカード

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