財産の蓄積をあらわす貸借対照表

資産=負債+資本はもともとは複式簿記の概念です。左辺は企業の持つ財産であり、右辺は調達額(誰にお金を出してもらったか)を表し、イコール記号で結ばれていると言うことは、調達額の総計と今持っている財産の総計は一致することを意味します。

なお、2005年の会社法の成立以降、資本は厳密には純資産の部と呼ばれるようになりましたが、ここではわかりやすく資本という呼び名で統一します。

会計の世界では、このフレームワークは貸借対照表(バランスシート)を指し、損益計算書、キャッシュフロー計算書と並んで財務三表の一角を担います。損益計算書とキャッシュフロー計算書がフロー、つまり毎年毎年のお金の流れを表すのに対し、貸借対照表はストック、すなわち財産の蓄積を表すという違いがあります。

ロジカルシンキングと資産=負債+資本

上述の通り、資産=負債+資本は会計の概念ですが、同時にロジカルシンキングにおけるビジネスの8大フレームワークの一部でもあります。たとえば、会社の中の問題を解決するためにロジカルシンキングを使うことを考えてみましょう。スタートポイントは「どこに問題があるか」を発見することですが、その際には「資産に問題があるのか、それとも負債か資本か」と分解して考える際に使えます。この意味において、資産=負債+資本もフレームワークの一部として認識されます。

なお、イコール記号で分かれているところからもわかるとおりMECEになっています。同時に、右辺で調達してきた資金を使って左辺の財産をさまざまな投資に回しているという関係性も明確であり、つながり感もあるので、ロジカルシンキングのフレームワークとして見た場合のクオリティが高くなっています。

固定と流動の違いは1年間の基準

貸借対照表は上述の通りストックの概念を表すものですが、これだけでは管理が難しいために、「1年以内に処理しなければならないものかどうか」という観点で流動と固定に分けて考えています。すなわち、資産は、

  • 流動資産:1年以内に現金化できる財産
  • 固定資産:現金化するのに1年以上かかる財産

負債は、

  • 流動負債:1年以内に返済しなければならない借金
  • 固定負債:返済まで1年以上の猶予がある借金

となります。

このように固定と流動で分けることにより、「1年以内に返済しなければならない借金は○円。だとしたら、その手当として流動資産もある程度持っておこう」のような判断ができ、より良い会社経営につながります。なお、流動資産÷流動負債を流動比率と呼び、これが極端に低いとその会社の安全性が脅かされていると判断します。

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