ロジカルシンキングを使った問題解決

ビジネスを進める際には何らかの「問題」を解決することが求められるものです。

それは、トラブル対応のように明確な問題を解決する場合もあれば、逆に前向きな施策によってこれまでなかったものを生み出すこともあります。すなわち、ビジネスにおける問題解決とは、「あるべき姿」を描き、現状とのギャップを埋めるためのアクションと言い換えることも出来ます。

たとえば、営業という仕事を考えてみましょう。単なるものを売り込むのではなく、「お客様の抱える問題を解決するために当社の商品を使ってもらう」と考えれば、営業行為すらもひとつの問題解決に他ならないと言うことがピンと来るのではないでしょうか。

ただし、その際に、行き当たりばったりの営業行為では、成果が上がるわけもありません。そうではなく、筋道立てた考え方をすることによって、「どんな状況でも、何回でも、同じようなパフォーマンスを挙げる」、すなわち再現性のあるスキルを持つのが、良い営業マンです。

たとえば、営業行為を、

  • アタックリスト作成
  • アポイントをとるための電話
  • アポイント設定
  • 訪問
  • 提案
  • 成約

と細分化して、それぞれのパートごとに目標数値を設定する、などが考えられます。

このような、筋道立て他仕事のしかたが、ロジカルシンキングを使った問題解決です。

なお、ロジカルシンキングには二大応用分野があり、ここで説明した問題解決以外にも、ロジカル・コミュニケーションが挙げられます。

ロジカルシンキングにおける問題解決の4類型

もロジカルシンキングを使った問題解決は、下記の4つの類型(タイプ)に分けられます。

  • 顕在型問題解決:「明らかにこれはまずい」というものがわかっていて、そのマイナスをゼロに近づける
  • 潜在型問題解決:一見すると問題はなさそうだが、将来問題になりそうな状況を察知して、発生を防ぐ
  • プラスアルファ型問題解決:現状でも悪くはないが、より良い状況をもたらすためにゼロにプラスαする
  • 機会損失回復型問題解決:一見すると現状でも悪くないが、よく考えると大きなチャンスを逃していることに気づき、結果としてプラスが生まれる

たとえば、自動車でA地点からB地点に移動するという例で考えてみましょう。顕在型問題解決は、突然車が停まってしまったというイメージです。このままでは明らかにまずいですから、問題解決の必要性が出てきます。その際にロジカルシンキングを使うならば、問題の原因はどこにあるかを究明することが簡単になります。すなわち、問題はエンジンなのか、タイヤなのか、それとも燃料なのかと切り分けて考えて、さらにエンジンだったら、吸気系か、排気系か、はたまた駆動系か、等と細分化することになります。

一方の潜在型問題解決は、エンジンルームから異音がするような状況です。経験豊富なドライバーならば、将来的に車が止まってしまうことを予見して、早い段階で手を打つことでトラブルの発生を防ぐでしょう。ところが、潜在的な問題に気づかない人は、異音をほったらかしにしておいて、突然エンジンが停まってしまうというトラブルにみまわれてしまいます。この際にロジカルシンキングを使うならば、問題が起こる状況を幅広く考える事になります。

プラスアルファ型問題解決は、車は順調に走っているけれど、せっかくだから車内の時間を有意義に過ごすために音楽を楽しむことを思いつく、というイメージです。この場合、ロジカルシンキングを使うならば、カーラジオをつける、iPodを持ち込む、自分で歌う…など、様々な選択肢を考えたうえで、最も効果的な打ち手を選択することになります。

最後の機会損失回復型問題解決は、実は高速道路を使ったほうが目的地に早く到着できたことに気づくことにあります。これは、ロジカルシンキングを使うならば、前提条件を疑ってかかる事になります。一見当たり前の一般道での移動でも、そもそもの目的(論点)を考えると、実は他にも選択肢があるのではないか、を考えるのです。

問題解決のツールはロジックツリー

上記の例を読むと、ロジカルシンキングを使った問題解決においては、細分化することがひとつの鍵であることに気づくでしょう。これを頭の中だけでやるのではなく、図に描いて考えるのが、ロジックツリーと呼ばれるツールです。

詳しくは後述しますが、ロジカル・コミュニケーションでも出てきたMECE枠組みを階層構造にしたものが、ロジックツリーです。

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